陰部から膿? 子宮蓄膿症について
2023.09.15
飼い主様からのご相談と、治療完了までの概要
トイプードル(8歳6か月齢、未避妊雌)が「ヒートが一か月前に終わったのに陰部から出血が続いている。数日前から食欲不振があり、本日から全く食べない」とのことで来院されました。陰部から血混じりの膿が出ており、血液検査、レントゲン検査、超音波検査により、子宮蓄膿症が疑われたため、手術にて子宮と卵巣を摘出しました。子宮は膿により破裂寸前(下写真)でしたが、術後は体調が回復し、治療終了となりました。
犬の子宮蓄膿症とは
子宮蓄膿症は、その名の通り子宮に膿がたまってしまう疾患です。主に6歳齢以上の未避妊の雌に見られます。原因は発情などの免疫力低下に伴い子宮への細菌感染(大腸菌など)によるものがほとんどです。症状はのどが渇いてお水をたくさん飲むようになる(多飲多尿)、嘔吐、食欲不振、陰部からの膿の流出などです。治療が遅れると、子宮破裂や菌が全身に回ってしまう菌血症、多臓器不全になり死に至ることもあります。主な治療は子宮の摘出と性ホルモンを分泌している卵巣の摘出術になります。
子宮蓄膿症の検査から診断まで
犬の子宮蓄膿症はヒート後にも陰部から排液がみられるなどの臨床症状が特徴ですが、排液がみられない閉鎖性の子宮蓄膿症もあるためヒート後の体調不良は要注意です。
腹部超音波検査で子宮内の液体貯留、血液検査で炎症や感染を示す兆候などが特徴的な検査結果となります。
治療
治療の第一選択肢は、膿の袋となっている子宮の摘出と性ホルモンを分泌している卵巣の摘出術になります。第2選択肢として、抗生剤や注射による排膿を促し治療させる方法もありますが、効果がみられなかった場合は症状が進行してしまうなどリスクを伴うためお勧めしません。
そのため外科手術での卵巣・子宮摘出。術前・術後の点滴と抗生剤投与などをしっかり行い治療完了となります。
この病気は時期や症状などを知っていれば早期に診断が可能で手術や術後のリスクも低い病気です。
また避妊手術を受けていれば発症する確率もほとんどなくなる病気のため、予防として避妊手術を若い時にすることも大切です。
もしも怪しい症状がみられた場合はお早めにこいずみ動物病院 川口へご相談ください。
埼玉県川口市・蕨市のこいずみ動物病院 川口
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