その血尿は結石が原因かもしれません(膀胱結石について)
2023.10.25
今回は膀胱結石についてです。
6歳のチワワで血尿・頻尿を主訴に来院されました。
犬の血尿とは?
血尿とは尿に血液が含まれているものを指します。言い換えると、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)からさまざまな理由で出血したものが尿と一緒に排泄された状態です。泌尿器のどこかに出血する原因があった場合に、血尿が発生します。
今回のワンちゃんはエコー検査を行ったところ、膀胱内に多量の結石が認められ、膀胱結石による膀胱炎が原因で血尿が出ていました。
レントゲン検査でも同様に膀胱内に多数の結石(黄丸)が認められます。
結石には様々な種類がありますが、現在日本ではすべての尿石症のうち、ストルバイトとシュウ酸カルシウムが原因のものが8割以上を占め、ほぼ同等の頻度で見られます。検査では今回の膀胱結石はストラバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)でした。
ストルバイトの原因として食事や膀胱内の細菌感染があります。この結石は結晶や小さい結石の場合は食事で溶解することが出来ます。ただし大きくなってしまった場合は食事で小さくして自然に出るのを待つのはとても時間がかかり、その間継続する痛みや不快感を考えると、やはり早めに手術で取り除いてあげることが良いと考えられます。
また、シュウ酸カルシウムは食事では溶かすことが出来ないため、大きさによっては手術で結石の除去を行います。
まとめ
膀胱結石の症状として、血尿や頻尿がありますが、大きな結石になっても無症状の場合もあります。
症状が現れるころには手術しか選択肢がなくなってしまっている場合が多く、特にオス犬の場合は尿道が狭いため、小さい石がたくさん出来てしまうと排尿の過程で石が流れて徐々に堆積し、尿道に詰まり閉塞をすることもあります。膀胱結石により排尿姿勢をとっても尿が出ていない場合は緊急事態です。尿が出ないため急性腎不全になり、膀胱破裂の危険がありますので、すぐに受診して下さい。
結石が大きくなる前に気づければ手術をせずに食事変更や内科療法で改善できるケースも多くあります。今回は犬ですが猫も同様に結石ができるので健康診断で結石ができていないかどうか確認することも大事です。
埼玉県川口市・蕨市のこいずみ動物病院 川口
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